「機能性表示食品」と書かれたサプリを、国のお墨付きだと思って選んでいませんか。実は、機能性表示食品を国は審査していません。トクホや栄養機能食品との違いは「誰が中身を保証しているか」にあります。
この記事では、薬局薬剤師(ドラッグストア経験あり)である私が3つの区分の違いと、パッケージのどこを見て選べばいいかを解説します。この記事を読めば、店頭で表示を見る目が変わるはずです。
実際に、お客さんが機能性表示食品とトクホ、栄養機能食品の違いを認識していないのは皆さんも想像できるかもしれません。薬剤師含めて登録販売者など従業員も実際に腹落ちしている人は少ない印象です。例として、経口補水液のOS-1をトクホだと勘違いしている人が多かったです。実際は「病者用食品」という区分になります。
結論:3つの違いは「誰が保証しているか」

先に答えです。トクホは国が審査して許可したもの。機能性表示食品は企業が自分の責任で届け出たもの。栄養機能食品は決められた基準を満たせば表示できるものです。
| 区分 | 保証する人 | 国の審査 | 目印 |
|---|---|---|---|
| トクホ(特定保健用食品) | 国(消費者庁が個別に審査・許可) | あり | 許可マーク |
| 機能性表示食品 | 企業(事業者の責任で届出) | なし | 「届出番号」の記載 |
| 栄養機能食品 | 制度の基準(成分量が規格の範囲内) | なし(届出も不要) | 決まった文言の表示 |
この3つをまとめて「保健機能食品」と呼びます。逆に、どれにも当てはまらない商品は「いわゆる健康食品」です。機能を表示すること自体が認められていません。なお、栄養機能食品も、基準を守る責任はメーカーにあります。国が商品ごとに確認しているわけではありません。
ここで大事なのは、審査の有無=効果の有無ではないという点です。機能性表示食品にも、ヒトでの研究データという裏付けはあります。ただし裏付けの重さが違います。それぞれ順番に見ていきましょう。
トクホ(特定保健用食品)は国が個別に審査した食品
トクホは、3つの中でいちばんハードルが高い区分です。商品ごとに人での試験を行い、そのデータを国が審査します。認められると消費者庁長官の許可が出て、人が伸びをしているような許可マークをつけられます。
制度が始まったのは1991年。「お腹の調子を整える」「血圧が高めの方に適した」といった表示は、この審査を通ったから書けるものです。
ただし、トクホは審査に時間も費用もかかります。そのため商品数は多くありません。サプリメント売り場で見かける機会は、機能性表示食品のほうが多いはずです。
実際、トクホで有名な商品は、食品に多い印象を受けるのでサプリメント売り場よりも飲食コーナーがメインです。私の経験では「黒烏龍茶」について聞かれることが多かったので、飲料コーナーに案内していました。
機能性表示食品は「企業の責任」で機能を表示した食品
ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。機能性表示食品は、国の審査を受けていません。
仕組みはこうです。企業が科学的根拠の資料をそろえて、販売前に消費者庁へ届け出る→書類が受理されれば、審査なしで「〇〇の機能が報告されています」と表示して売れます。制度が始まったのは2015年です。(つぶやき:私がドラッグストアに入社したのが2013年なのですが、その頃にはまだ機能性表示食品無かったのか〜全然覚えてないな・・・となりました笑)
根拠のとり方は2通りあります。
- その商品自体で人での試験を行う
- 最終製品または機能性関与成分について、過去の研究を一定の手順で収集・評価する「研究レビュー(システマティックレビュー)」を行う
実際には、後者の研究レビュー型が大半です。つまり「この商品を飲んだ試験」ではなく「この成分にはこういう報告がある」という根拠で表示されている商品が多いということ。パッケージの表現が「〜の機能が報告されています」という回りくどい言い方なのは、このためです。
誤解しないでほしいのは、審査がない=デタラメではないことです。届け出た根拠資料はすべて消費者庁のサイトで公開されていて、誰でも読めます。企業は自社の名前で責任を負っています。ただ、国がひとつずつ中身を確かめた制度ではない。この距離感を知っておくと、広告の受け取り方が変わるでしょう。
当ブログで効果を「〜の機能が報告されている」と書くのも、この制度の建てつけに合わせているからです。例えばイヌリンやビオフェルミンの記事でもこの見方を前提に解説しています。
栄養機能食品は「成分の量」が基準を満たした食品
栄養機能食品は、ビタミンなど特定栄養成分の補給を目的にした区分です。対象になる成分は、ビタミン13種類・ミネラル6種類・n-3系脂肪酸の合計20種類。
目安量(1日量)に含まれる成分の量が、国の決めた範囲に収まっていれば表示できます。届出も審査も要りません。そのかわり、書ける文言は成分ごとに決まっています。たとえばビタミンCなら「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」といった定型文です。
商品ごとの個性を審査する制度ではないので、「この商品が特別すごい」という意味はありません。マルチビタミンなど、足りない栄養素を補う目的で選ぶときの目印と考えれば十分です。
どのマークもない「いわゆる健康食品」との違い
3つの区分のどれにも入らない商品は、法律上ただの食品です。世間では健康食品と呼ばれますが、機能や効果をパッケージに表示することは認められていません。
ここで注意したいのが広告です。表示できないぶん、「スッキリ」「めぐり」といったイメージ言葉や、体験談で効果を匂わせる商品があります。SNSの広告で見かけるサプリには、この「いわゆる健康食品」も多く混ざっています。
区分がない=悪い商品、とまでは言えません。ただ、機能の裏付けを制度として示していない商品だという事実は、選ぶときの判断材料になるでしょう。迷ったら、まずパッケージに届出番号かマークがあるかを見てください。
薬剤師はここを見る|3つの区分を選び方に活かす

区分の知識は、次の3つの場面で使えます。
まず、パッケージの表と裏を見る。表に「機能性表示食品」とあれば、裏か側面に届出番号(例:A123のような英数字)が書いてあります。番号があれば、その商品の根拠を自分で確認できます。
次に、届出番号で検索する。消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」( https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/ )に番号を入れると、どんな成分で・どんな機能を・どんな根拠で届け出たかが読めます。難しければ、届出表示の文面だけでも見てください。広告のイメージと、届け出た機能の範囲が意外と違うケースもあることに気づくはずです。
最後に、飲み合わせについてです。私の体感では、問題ない組み合わせが大半です。ただし中には、薬の効き方を変えてしまう食品もあります。飲んでいる薬の名前を伝えて確認するのが確実です。
まとめ
- トクホは国が審査した食品。機能性表示食品は企業の責任で届け出た食品。栄養機能食品は成分量が基準を満たした食品
- 機能性表示食品を国は審査していない。ただし根拠資料は公開されていて、届出番号から誰でも確認できる
- どの区分もない「いわゆる健康食品」は、機能の表示自体が認められていない
- 薬を飲んでいる人は、区分に関係なく薬剤師に飲み合わせを確認する
想定される質問

Q1. 機能性表示食品は効かないのですか?
A. そうとは言えません。ヒトでの研究報告という裏付けはあります。ただし国が審査したわけではなく、効果の感じ方には個人差があります。「広告の印象」より「表示された機能」に着目することが大切です。
Q2. トクホのほうが機能性表示食品より優れていますか?
A. 審査の重さではトクホが上です。ただ、商品としてどちらが合うかは目的と成分によります。同じ成分でも、トクホと機能性表示食品の両方で商品が出ている場合があります。
Q3. 薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 区分に関係なく、自己判断は避けたほうが無難です。食品でも薬の効き方に影響する組み合わせがあります(青汁×血液サラサラ系の薬など)。飲んでいる薬の名前を伝えて、薬剤師に確認するのが確実です。
Q4. 「サプリメント」はどの区分に入りますか?
A. サプリメントという言葉に法律上の定義はありません。錠剤やカプセルの形をした食品の通称です。中身は商品ごとに違い、機能性表示食品のものも、いわゆる健康食品のものもあります。
Q5. 届出番号はどこで調べられますか?
A. 消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」で調べられます。パッケージの届出番号か商品名を入力すると、届け出た機能と根拠の資料が表示されます。


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